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メンタルヘルスに関する法律について知りたい

法令の紹介

○ 労働基準法

 労働者が「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができるように、使用者が守るべき最低限の基準を示したものが労働基準法です。労働条件について、賃金、労働時間、休日、休暇等に関する最低基準が定められています。労働基準法では、労使は、労働基準法で示された労働条件の基準を単に守るだけではなく、これを改善向上するように努めなければならないと定められています。(労働基準法第1条2項)

○ 労働安全衛生法

 労働安全衛生法は、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。 事業主が、単にこの法律で定める労働災害防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて、職場における労働者の安全と健康を確保するよう定めています。
 法の中で、メンタルヘルスの不調を未然に防止することを主な目的として、定期的に労働者のストレスの状況について検査を行うストレスチェックの実施が、事業者に義務付けられています。ただし、従業員50人未満の事業場については、当分の間、努力義務です。
 ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、高ストレス者とされた労働者の申出に応じて医師による面接指導を実施し、その結果、医師の意見を聴いた上で、必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講じなければならないとされています。(労働安全衛生法第66条の10)

 さらに、長時間労働者については、労働者からの申し出があれば、医師による面接指導を行う必要があると定められています。対象となる労働者の要件については、2019年4月以降、時間外・休日労働時間が1月あたり80時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められるものに拡大されました。(労働安全衛生法第66条の8第1項。労働安全衛生規則第52条の2)
 なお、事業者は、面接指導を実施するため、客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければなりません。(労働安全衛生法第66条の8第3項。労働安全衛生規則第52条の7の3第1項、第2項)

 コロナ禍ではテレワーク活用が増加しましたが、厚生労働省は令和4年3月に「テレワークにおけるメンタルヘルス対策のための手引き」を公表しています。
https://www.mhlw.go.jp/content/000917259.pdf

○ 労働者災害補償保険法(労災保険)

 労働者災害補償保険法は、労働者が業務上の事由や通勤が原因で怪我をしたり、病気にかかったり、障害を負ったり、死亡したときなどに、国が事業主に代わって必要な給付等を行うこととしています。
 職場のストレス等による心理的負荷による精神障害に係る労災認定について、厚生労働省は「心理的負荷による精神障害の認定基準(8頁参照)」を策定しています。
 また、令和3年9月に「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」が改正され、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定すること等が明確化されました。

○ 労働契約法

 労働契約法第5 条では、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」として、使用者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を定めています。
 労働者の利用する物的施設・機械、安全衛生を確保するための人的管理、労働者への健康配慮義務が含まれていると解されており、メンタルヘルス対策も使用者の安全配慮義務に含まれると解釈されています。

○ 過労死等防止対策推進法

 平成26年11月1日に施行された過労死等防止対策推進法は、過労死等の調査研究や防止のための対策を推進し、過労死等がなく、仕事と生活を調和させ、健康で充実して働き続けることのできる社会の実現に寄与することを目的としています。同法第6条に基づき、平成28年から毎年、過労死等防止対策白書が公表されています。

 また、令和3年7月に「過労死等の防止のための対策に関する大綱」が改正されました(3年ぶり)。新大綱では、新型コロナウイルス感染症やフリーランス等についての言及があり、またメンタルヘルス対策等の過労死等防止対策について更なる推進を図っていくこと等が記載されています。

○ 労働施策総合推進法

 令和2年6月から、「事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とするパワーハラスメント防止措置が事業主に義務付けられました(当初、適用を猶予され、努力義務とされていた中小企業に、令和4年4月からは、パワハラ防止措置を講ずることが義務付けられています。)。ハラスメント相談等を理由とする労働者への不利益取扱いの禁止等も定められました。

指針等関連リンクの紹介