ストレスチェック制度(心理的な負担の程度を把握するための検査等)

ストレスチェック制度とは

 平成27年12月1日に導入されたストレスチェック制度は、①定期的に労働者のストレスの状況について医師、保健師等によるストレスチェックを行い、労働者本人にその結果を通知して自らのストレスの状況について気づきを促し、個人のメンタルヘルス不調のリスクを低減させること、②検査結果を集団ごとに集計・分析し、職場におけるストレス要因を評価し、職場環境の改善につなげ、ストレス要因を低減させること、③メンタル不調のリスクの高い労働者を早期に発見し、医師による面接指導につなげることなどを目的としています。 ストレスチェックの実施に際し「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」(令和3年2月改訂)及び「心理的な負担の程度を把握するための検査及び面接指導の実施並びに面接指導結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(平成27年4月15日)が策定されています。

対象となる事業場

 ストレスチェック制度は、労働者数が50人以上の事業場で実施が義務付けられています。

 50人未満の事業場では当分の間努力義務です。小規模事業場でも取り組むことが望ましく、その際には法令・指針を遵守することとされています。

対象となる労働者

 常時使用する労働者が対象となります。

通常の労働者(正社員)はもちろん、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の対象となっている非正規労働者(パートタイム労働者、契約社員、嘱託再雇用者等)もストレスチェックの対象となります。

具体的には次の①と②の要件をいずれも満たす者です。

期間の定めのない労働契約で使用される者(契約期間が1年以上の者ならびに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者および1年以上引き続き使用されている者を含む)

週の所定労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上であること。

 派遣労働者は、雇用関係がある派遣元事業主(派遣会社)において実施します。

労働者の受検の自由

 ストレスチェックはすべての労働者が受けることが望ましいのですが、メンタルヘルス不調で治療中のため受検の負担が大きい等の特別の理由がある労働者にまで受検を強要する必要はないと考えられていることから、事業者は労働者に受検を義務付けることはできません。

 なお、事業者が、実施者からストレスチェックの受検者のリストを入手して、受検をしていない労働者に対して、ストレスチェックの受検を勧めることは可能です。

プライバシーの保護

  • 検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人に通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。
  • 事業者は、ストレスチェック結果の提供について、結果通知後に個別に労働者から同意を取得しなければなりません。(ストレスチェックの実施前または実施時に労働者の同意を取得してはなりません。)
  • 事業者は、本人の同意により事業者に提供されたストレスチェックの結果を、当該労働者の健康確保のための就業上の措置に必要な範囲を超えて、上司や同僚等に共有してはなりません。
  • 事業者は、実施者にストレスチェックの結果を労働者に通知させるに当たっては、封書または電子メール等で当該労働者に直接通知させる等、結果を当該労働者以外が把握できない方法で通知させなければなりません。

ストレスチェックの実施者

 ストレスチェックは、医師、保健師、厚生労働大臣が定める研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士若しくは、公認心理師が実施者になります。事業者が実施者となることはできません。実施者は、チェック項目の選定、評価基準の設定・選定、個人の結果の評価(ストレスチェック結果の点検、確認、面接指導対象者の選定等)を行います。実施者には守秘義務が課されます。

 産業医の選定されている事業場では産業医が関与することが望ましいのですが、必ずしも産業医が実施しなければならない訳ではありません。

 外部機関にストレスチェックや面接指導を委託する場合には、委託先がこれらを適切に実施できる体制を整え、情報管理も適切に行われる体制が整備されていることを、事前に確認することが望まれます。

 実施者は労働者の同意なしにストレスチェックの結果を事業者に提供してはなりません。この同意は、ストレスチェックの結果を労働者が受け取ってから、取得することとされています。ストレスチェック実施前、実施時に同意を取得することはできません。また、同意しない旨の申出がない限り、同意したものとみなすという扱いもできません。

ストレスチェックの実施事務従事者

 事業者は、実施の事務が円滑に行われるよう、実施事務従事者の選任等必要な措置を講じることとされています。調査票の配布・回収等の事務は実施者が直接行う必要はなく、実施事務従事者に行わせることができます。検査を受ける労働者について、解雇・昇進・異動について直接の権限を持つ監督的地位にある者は実施に関する事務に従事することはできません。実施事務従事者には労働安全衛生法により守秘義務が課せられています。

ストレスチェックの結果の記録・保存

 事業者は、ストレスチェックを受けた労働者の同意を得て、実施者から提供を受けたストレスチェックの結果について記録を作成し、これを5年間は保存しなければなりません。記録の保存にあたっては、保存場所の指定、保存期間の設定、セキュリティの確保などを行う必要があります。

不利益な取扱いの禁止

 労働者がストレスチェックを受検しないこと、ストレスチェックの結果を事業者に提供することに同意しないこと、医師による面接指導を事業主に申し出たこと、高ストレス者として面接指導の要件を満たしているにも関わらず面接指導の申し出をしないこと等を理由とする不利益取り扱いは禁止されています。

 これらを理由とする懲戒処分、解雇、雇止め、退職勧奨、不当な動機・目的をもってなされたと判断されるような配置転換又は職位(役職)の変更等が禁止されています。

詳しくは、厚生労働省HP(ストレスチェック制度簡単導入マニュアル)をご覧ください。

メンタルヘルス対策支援(独立行政法人労働者健康安全機構 産業保健総合支援センター)

 47都道府県の産業保健総合支援センターにおいて、メンタルヘルス不調の予防から職場復帰支援までのメンタルヘルス対策全般について対応する総合相談等を行っています。
 また、ストレスチェック制度導入に関する支援も行っています。

【都内機関】
独立行政法人労働者健康安全機構 東京産業保健総合支援センター TEL 03(5211)4483